アイドルのキャリアについて考えてみた

2018年4月15日11時に、関ジャニ∞のメインボーカルを務める渋谷すばるくんが退所することが発表された。前々日となるフライデーの記事タイトル「渋谷すばる関ジャニ∞』を脱退へ 国民的アイドルグループに何が起きた?」を見たとき、脱退への後ろに!?が付いていなかったことから、脱退することは決定なんだろうなと思っていた。裏が取れていないのであれば、?を必ず付ける。そうじゃないということなんだろうと。退所の理由までは探れなかったのは、事務所関係者から得た情報というわけではなかったのだろう。

すばるくんは36歳。確かに次のキャリアを踏み出すには、遅いということはあっても、早いという年齢ではない。「海外で音楽を学び、自分の音楽を追究していきたい」。それがグループ脱退および退所の理由だ。

すばるくんの退所に伴い、KinKi Kidsの剛さんのようにできなかったのかというつぶやきもTwitterで見かけた。しかしKinKi Kids関ジャニ∞ではグループの置かれている立場が違いすぎる。KinKi Kidsは2人組で、デビュー前から20代にかけて大きな金額を稼いできた。昨年デビュー20周年を迎えたが、20年以上モノ間、事務所に大きな収益をもたらしてきたグループである。しかもレギュラー番組は1本。ここ最近、1年の約半分は光一さんが舞台活動をしている。つまりそれだけ剛さんには自由に使える時間があるというわけだ。光一さんも剛さんも、ソロで自分のやりたいこと、専門性を深掘りし、KinKiで音楽を主体としながらも、広く浅くマルチなアイドル(タレント)としてのキャリアを磨けるのである。よく言われるT字型人材。すごく理想的な芸能活動ができているように思える。もちろん、すべてはハッピーということではなく、大変なことも多いだろうが、自分の専門性(ミュージカル、ファンクミュージック)とKinKi Kidsという2つの共存に折り合いを付けやすいような気がする。

一方、関ジャニはどうか。今年から15周年イヤーが始まるという。今では嵐に次ぐジャニーズ事務所を支える存在となったが、デビュー後すぐ人気に火が付いたわけではなかったように思う。しかし、その後の頑張りにより、今では関ジャニ∞は数多くのレギュラー番組を抱えている。だが、やはり稼げるまでになるまでに時間がかかりすぎたような気がする。というのもメンバーは皆30代。すばるくんに至っては30代半ばとなっている。そのままグループで仕事をしながらでは、自分の音楽を追究するには時間が少なすぎるのだろう。年齢を考えると焦りも出る。だからこそ、自分がゴールとするキャリアに向かうために思い切った決断をしたのだろうと思う。

でも今回の決断は、ファンにもちゃんと自分たちの言葉で報告されたのがよかった。関ジャニ∞というグループの魅力を、世間に改めて知らしめることができたと思う。

SMAPのときは、本人たちの声が届かなかったので、いろんな憶測を今も生んでいる。これが学びとなり、今回の記者会見になったのかもしれないが、メンバー全員でというのが関ジャニ∞らしさを醸し出していたように思う。

SMAPの解散も飯島氏が退所したことをきっかけに、メンバーが次のキャリアを考えた結果なのだろうと思う。彼らはみんな40代。すばるくんよりもシビアに、この先どんな人生を描いていくのか、考えたと思う。慕っているボスと共に働きたい、今までとは異なる世界に出てみたいという選択肢があった。それを選んだ人と、事務所に残って自分の専門性、つまり俳優、MCに専念する道を選択した人というだけのような気がする。

話は変わるが、先クール、木村さん主演の「BG」を見たが、ちょうどいい感じに年をとっていて、すごく魅力的に感じた。たまに出てくる、「キムタク」感もちょうどよかった(笑)。それがないと、一般としてはやっぱり寂しいからだ。これまではSMAPというアイドルグループを背負っていたので、キラキラが薄れるような役は事務所的にNGだったような気がする。もう背負っているものはないので、いろんな役を演じて、芝居の幅を広げていってほしい。中居さんもMC業を極めていってほしい。KinKi Kidsが出演したCDTVでは、相変わらずの兄弟ネタを出したり、耳のことを聞いてくれたりして、すごく温かみを感じた。両者ともジャニーズアイドルのロールモデルを後輩に示してほしい。

KinKi Kidsもいずれ脱退(=解散)することがあるかもしれない。その時は、非常に残念に思うだろうが、次のステージに進んでいく彼らの選択を心から応援しようと思う。好きな人には思いっきり1回きりの人生を自分らしく生きていってほしいからだ。とはいえ、KinKi Kidsというプロジェクトは、無理なく大人なデュオに脱皮していけそうな気がする。それができれば、後輩グループにとって新たなロールモデルを提示できる。そういうグループとして続いていくことを期待している。